『国立ハンセン病資料館』

私はライフワークとして「過去にあった、今も一部続いている差別」をのんびり調べ続けているのですが、そのうちのひとつハンセン病をご紹介します。

 

ハンセン病、有名なのは『もののけ姫』に出てきた柿色の服の人たち。外見が変形する症状や感染の恐れからか、古代から目をつけられ忌避されている病気です。

 

このハンセン病、何が凄いって歴史がめちゃくちゃ長いんです。日本書紀内でも621年には「白癩」と名前で記述されていました。医学が発達していないときに名前までつけられて表記されてるの、凄いです。そしてワールドワイド。古代ギリシャや中世ヨーロッパ、ハワイ、フィリピンなどあちこちに資料や記述が残っています。さらには宗教まで引っ張ってきていて、中世日本では仏を大事にしていない「仏罰」とされ、キリスト教においても「清められるべき病」とされています。宗教を持ち出してまで批判される病気、そんなにありません。

 

日本での偏見は古代からずっと続いていましたが、明治時代のころからできた隔離療養所が近代まで続いていて、まだその施設の経験者が存命です。

当時、ハンセン病に限らず伝染病と考えられるものにはそれぞれ隔離施設が作られ、政府は強制的に病人を集めました。感染防止のために入ったら出られない、外からの助けが望めないので消防も屎尿の処理も火葬も神社も礼拝堂もその他宗教施設も通貨も園内で完結できる仕組ができあがり、結婚するには断種が必須といった特異な場所となりました。脱走しようとしたりトラブルを起こせば日狩りが入らない監房に閉じ込められていたとか、人権もなにもあったもんじゃない場所です。治療法が確立していないと健常者による数の暴力でそんな生き方を強いられるしかなかったの、しんどいですね。

 

以下の資料館に行って勉強しましたが、広くて綺麗なのに閑散としていました。資料も見やすかったし、実際に園で使われていた道具の展示もありました。見て楽しいものではないけど、ひとつ歴史を知る為にぜひ一度足を運んでいただければと。

www.hansen-dis.jp