『平家物語 あらすじで楽しむ源平の戦い』

遙かなる時空の中で3』 という恋愛シミュレーションゲームの舞台が源平合戦だったので知識の補強に読んでいた『平家物語 あらすじで楽しむ源平の戦い』。忍たまの世界に思いをはせた結果、「多分忍たまたちは基礎教養として平家物語を知っているはず…推しの常識を脳にインストールしたい…」と読み返すに至りました。

 

 

平家物語、「義経が」「那須与一は教科書で読んだ!」「3種の神器と天皇が入水したやつだよね」など断片的にはご存じの方も多いかとおもいます。全編が長いので名場面だけ紹介されたりするの、『三国志』他でもあるあるですね。

本書では「まず大体のあらすじを掴んで読もう!」ということで、ざっくりと平家物語の文学作品としての特徴や読み方のポイントを教えてくれます。

 

・『平家物語』は琵琶法師の語りがベースで、完全な原作は存在せず(まあ古典は写本で伝わっているので大体そう)、なおかつ語り部やら書き起こした人やらによって百年単位で常時改変が入ってる作品だよ!つまり物語を盛るために、事実との乖離も見られるよ!

・平家内で悪役は清盛と三男宗盛!それに対する善役が長男重盛と四男知盛!これはもう事実かわからないほど『平家物語』ではそういうポジションとして固定!

・登場人物が多い作品は『推し』を作って、推しとの関係で覚えていけ!

・メジャーな戦いは大体6つだから、そこから話の盛り上がりを把握して!

・平家都落ちが状況一変ポイントだよ!(太平洋戦争でいうところのミッドウェー)

・落ちてからは平家は女子供連れた一族での逃亡と戦いだけど、源氏側は手柄が欲しいビジネスマンだけが遠征して戦いに来てるだけだから被害や悲惨さの対比がすごいよ!

 

雑談としていかにも触れられています。

・源氏側内戦の義経vs義仲

・頼朝に発破をかけたけど戦闘時期にはマジで出番がないお坊さん文覚

・同じ軍記物語だけど物語としてすっきりする『平家物語』に比べると釈然としない『太平記

 

江戸時代で流行った『平家物語』二次創作の話もちょいちょい出ますし、『平家物語』だけでなく平安末期から江戸入るまでの文学傾向についても書かれているし、ほんとうにざっくり知りたい初心者さんにおすすめしたいです。

古典は今と違う生活基盤で成り立っているので解説読んだほうがわかりやすいので。