中学での社会でも、高校の地理でも、アフリカって言及が少ないエリアでした。
履修していないけど、世界史でだってエジプト以降にアフリカが話題にのぼるのは大航海時代になってからでは?
でも今や独立して久しく、国ごとに情勢は様々。治安が悪かったり、栄えていたり、平和だったり、いまだどこの国にも属していないエリアがあったり。
そんな中でおそらく「治安が悪い」に分類されるソマリランドとプントランドとソマリアに実際に足を運んだノンフィクションです。
日本に大使館もない、国連非加盟国にどうやって行くのか。ビザは?現地で使えるお金と物価は?案内やら手配は?護衛ってどれくらいいる?
上記のような問題に片っ端から挑んで、また現地で話を聞けるように、現地の人が嗜む覚醒植物カートをばくばくと口にしてなじむ努力をする…。多分誰もその方法を思いつかず、方法を知っても実行に移す胆力もないような体験が、こうやって日本語の本になって書店に並ぶという奇跡みたいな本です。
無謀といえば無謀だけど、身一つで体当たりするような貧乏大学生のような旅ではありません。日本に滞在する出身者を見つけ出して声をかけたり、もちろん外国語もいくつか話せるし、過去の冒険の体験から危険を察知したり避ける立ち回りができたり、と準備はびっくりぐらいしています。
そのうえで全然情報がない国に行き、そして日本になじみがない人々の名前を我々一般読者が読みやすいように平家やら源氏やら武士に例えて書かれていて、本当に読みやすいのがすごいところ。賢くて親切。
我々は現代日本で暮らしていて、資本主義とか西欧ベースの秩序にまあまあ馴染んでいますが、そんなの知ったこっちゃねえってカタチの社会の形が知れるところが個人的には特に面白かったです。
こちらは高野さんと、大学で入っていた部の後輩にあたる角幡さんの対談。(年齢が離れているのでカブってはいないそうです)
同じ自身の冒険をベースに書くノンフィクション作家さんでも方向性が違うとか、文章書くのに頭を悩ませているとか知れたり、他の面白い本についても言及されているのでおふたり、どちらか片方でも本が面白かった人は読むのおすすめします。