『枕草子』

枕草子』を全文読んでみたいなーとずっと思っていたのですが、古典をすらすら読める力はなく、しかも手軽だけど人気ある部分だけ抜粋した薄い本はお呼びでない。さてどうしたものかと悩んでいたところ、「原文も訳も解説も全部載せ!」という豪華な本を買ったので年末からせっせと読みました。素晴らしかったです。

 

平安時代って異世界なんですよ。糞尿は街の通りに垂れ流し、天皇が政治の中心、聞いたことない役職、方違えや物忌みなどのオカルトルール、400年弱あるため初期中期末期で違う生活(枕草子は平安中期)、そして今の日本とは違う移動可能範囲。もうね、解説なしで理解するのは無理です。

そして読んでて思うのは、確かに清少納言は賢かったんだろうなあと。素晴らしい川とか草とかでつらつらと名をあげることでききます? 川など現代となってはいまいち所在が分からないのもあるし、清少納言が都を離れたことは一度しかないので実際には見たことなかったでしょう。ただ和歌漢文オタクらしく「これはこういう風に和歌で詠まれてるから味わいがあるわ!」なんて観点からの評価に親近感。記憶力と合わせて頭の回転も早かったようで、多分現代に生まれて映画オタクとかになってたらtwitterで生き生きとしていたかも…いや、バリキャリ系なのでSNSしてたかなどうかな…。

たまに出てくる宮中でのエピソード披露とか、ふふふってなります。当時の貴族の、というか中宮サロンの華やかさが伝わります。清少納言、バリキャリなうえに口には出さずとも好き嫌いはっきりしてるし、あと火事で家が燃えてって訴えに来た見ず知らずの人、からかうだけからかって放置かつ爆笑というひどいコンボかましてるので平安時代のモラルというか貴族の感覚くそだな~~っておもいます。草子に残したってことはこれ絶対悪いこととは思ってなくて単純に笑い話枠じゃん…いじめっこかよ…こわ…。

 

上下合わせた文庫本で3,000円越えというお高め設定なのですが、「これだけの訳とちゃんとした説明でこの価格!!? 安くない!!!?」と発狂すること請け合いなので大丈夫です。分厚い? 京極さんの本よりは薄いから片手でも持てます、大丈夫です。

 

枕草子 上 (ちくま学芸文庫)

枕草子 上 (ちくま学芸文庫)

 
枕草子 下 (ちくま学芸文庫)

枕草子 下 (ちくま学芸文庫)

 

 

ビジュアル参考に百人一首まわりを漫画化した『うた恋い』の3巻(清少納言あたりメイン)を片手に読まれるとよろしいかと。