『百姓たちの江戸時代』

ちくまさんがkindleフェアをやっていたのでホイホイ本買いました、その3。

 

百姓たちの江戸時代 (ちくまプリマー新書)

百姓たちの江戸時代 (ちくまプリマー新書)

 

 

今まで私の頭の中にあった江戸百姓像は結構間違えてました…「飢饉が度々起こってるし、常にド貧乏なのでは?」「粟ヒエ雑穀が主食で、冷害の時なんて子供を間引いたり食人文化もあったのでは?」と考えてましたが、江戸300年ずっとそんなだったら革命起きてたでしょ、という話です。江戸時代を描写したエンタメというと将軍、武家、幕末、大奥、と百姓が主役のものってほぼなくて(あったとしても一瞬で出世しちゃう)、出てきたら冷害とか一揆とかひもじいシーンばかり目にしていたので、まあそりゃイメージが偏るというもの。

 

実際はお米+雑穀のごはんを食べていたり、

お米以外のありとあらゆる農作物も作っていたり(衣服他日用品向けの植物含む)(苗や種を買うのに他の村との交流もある)、

稲作が基本だけど、器だけ作る専門職とか漁業だけで食べていける専業漁村も少ないので、基本自分の家で、もしくは村の誰かがなんとかできる、全員複業農家みたいな成り立ちだったり、

村ごとに寺子屋のようなものがあって最低限自分の名前くらいは読み書きできたり(武家と強い村以外ないと思ってたけどそんなことはなかった)、

お寺や神社のお祭り時には子供にお小遣いをあげたり寄進したり、

武家とは違う暦行事が多々あって人との交流が盛んで、

村々で歌舞伎したり、俳句が流行って町の高名な俳人やら近くの村々で評価が高い俳句する百姓をお金使って招いて句会したり。

 

普通に人生エンジョイできてるんです。びっくり。

 

「田畑は先祖の方々から引き継いでいるもので、自分は一時的に預かっているにすぎない。これを子孫に次いでいくのが我々世代の役目」という認識で生きているので、田畑を守りつつあれこれやってみる生き方をしていたんでしょうね。面白いですね。

難を言うとサンプルが東日本が多くて、西日本は別の要素がありそうだな~ともおもうのですが、本書を入門書として別の本で調べればいい話ですね。