『ぼくは翻訳についてこう考えています』

先日村上春樹さんの『雑文集』を読みまして、その中で翻訳家としての村上さんの意見をいくつか読んで翻訳についてあれこれ考えていたところ、ちょうどよい本に出会いました。

 

 

翻訳ってAIに仕事奪われるのでは、なんて言われたりしていますが、家電の説明書ならまだしも小説は無理ですね。

違う言語であるため絶対に原書を完全に再現することはないとはわかっていても、アメリカ文学ひとつとっても我々にはないキリスト教ベースの表現があるし、向こうの歴史に根を張った方言や言い回しがあるし、日本語にしっくりくる訳をしすぎて文章を削ってしまうというどえらい訳もあれば、ジョークや諺を日本のものに置き換えずそのまま書いちゃうことを是としたり。

私は現代舞台の海外文学はそんなに読まないのですが、『不思議の国のアリス』『パディントン』『ハリーポッター』『ダレンシャン』『モモ』『はてしない物語』『ソフィーの世界』『星の王子さま』などなど翻訳された本も読んではいるので日本語訳されたものはそれはそれでヨシとして、特に気に入ったものは原書チャレンジして楽しむのもよさそうです。

 

これ冒頭に村上春樹さんの本のこと書きましたが、実は本書内で村上春樹さんの訳についても言及されていまして、併せて読むことをおすすめします。現役作家さんに詳しくないので「近代で小説もバリバリ書いて翻訳もがんがんしてる作家は村上春樹さんと森鴎外さんだけ」と書かれていたのには驚きました。私が知らないだけでぼちぼちいるものだと…。