『リラと戦禍の風』

たまたま立ち寄った出先の本屋で『リラと戦禍の風』が目について(平積みされていました)、「魔物が出てくる第一次世界大戦」という設定に惹かれて購入しました。おもしろかったです。

 

当時いかにどこもひもじかったか、島国な日本と違って陸地でつながっている国々の怨嗟の歴史…そういうことを不老不死で不思議な力もある魔物たちと絡め、俯瞰的に見るというつくりの小説です。

私たちはWW1の約20年後にはWW2が始まることを知っています。ドイツに至ってはWW2後は東西に国が分かれ、ベルリンの壁が崩壊するまでさらに44年間もかかるしで、ちっとも「WW1が終わったねハッピーエンドだね、めでたしめでたし」な気分にはならないのですが、それでも毒ガスやら戦車やらスパイやら共産主義やらでしっちゃかめっちゃかな中でもがんばって考えて生きていく人間が読めるお話でした。

WW1をあまり知らない人にこそ読んでもらって、ここから知ってほしい一冊です。

 

 

 

ほぼ同時期に『カブラの冬』も読みました。

第一次世界大戦時にドイツがどれだけ飢えていたかという薄めの専門書です。

イギリスに海上閉鎖され、途端に食料が手に入らなくなってどうしたかという本で、薄めなので読みやすいです。

あまりおいしくないらしい野菜ルタバガ、すっかすかのパン、肥料も手に入らないので国内農業も悲惨、各家庭で炊事すると燃料が勿体ないので国が食堂を運営するもおいしくないし行けば周囲から貧乏だと揶揄されるし…と想像もできるし、しんどい話です。