『子ども兵の戦争』

日本のバトル系のエンタメではわりと子供が活躍するものが多く(少年漫画が多いから?)、対してアメリカだと少なくとも青年が戦ったりするわけですが、現実問題として最近の戦争って子供がよく戦っているよね、そこのとこ実際どうなのとおもって『子ども兵の戦争』を読みました。

 

 

まずは今の国際法の定義。子ども兵は18歳未満とされています。

 

「昔は子ども兵なんていなかった」というのは倫理が今よりしっかりしていたなんてことはなく、単純に「武器が子供には扱えるものではなかった」というだけであって、荷物運びやら手当やらの裏方では従軍していた子供もいたそうです。戦いというのは「成人をむかえた男の重大な仕事」という認識もあったのかも。日本の戦国時代でもまあそんな気風ありますし。

 

実際、銃があれば兵士になれるし、まともな神経していれば子供に攻撃はしにくいし、倫理感さえ吹っ飛ばせば頭数増やしたくて子供チョイスするのはわからなくはないです。

兵士にするはメンタル足りなくない?とおもうところですが、ここはもう手法が編み出されています。腕力で脅したり、薬漬けにしたり、攫ってきてめちゃくちゃな宗教観で洗脳したり、ジャングルネームという別名で呼ぶことで別人格を作り出させたり、慣れさせるために近隣の村人やら軍やらを襲わせたり(これで本来助けを求めたい相手からは敵認定されるわけで、逃げる先を封じることができます)。

あるところでは、子を戦で亡くせば「偉大な英雄の家族」として税金免除されたり公共行事で特別席が用意されたりするからと家族が子を兵士にと差し出すケースもあるそうで、いや~本当に倫理観と子どものこと考えなければね!いや考えろよって話なんですが!勝手に産んどいて、痛いし怖いしひもじい戦争だけで死んじゃうルートしかご用意されていない人生、やってられませんよ!

 

戦争の場が広がってWW1では全体の10%ほどだった民間死傷者、WW2では全体の50%で、20世紀後半のアフリカ戦争に至っては92%という「女子供も生活も関係ねぇ!!」という地獄に輪をかけたような戦争がメインの昨今ではね、子ども兵もそりゃ出ますわって感じですね。ケアする人と場所がどう考えたって足りていないので。

相手がまともな人間だと子供は撃ちたくないから隙が生まれるし、撃ったら撃ったでメンタルやられるしで本当に最高の悪手なんですけど、それをなんとかしようと非致死性の武器をせっせと開発中だそうです。音響兵器とかマイクロ波兵器とか。今今戦争に駆り出された子ども兵が大きくなっても子どもを守る倫理観が持てるとは思えないし、子どもはほんとは約千層から切り離してあげてほしいですね。

 

こうやって考えると子供相手でも容赦しない少年漫画の大人の倫理観やばいですね。対等に扱うのもそれはそれでいいんですが、未成年を守るっていう認識抱えてるキャラは主人公(子供)の活躍の邪魔になるから出してもらえないんだろうな…。